国民年金035 遺族基礎年金の要件③ 遺族との関係性の要件(ⅱ)生計維持要件のうちの収入要件 

(1)はじめに
 遺族基礎年金を受給するためには、
 死亡した被保険者等と遺族との関係性として「生計維持要件」が必要です。
・遺族 (子のある配偶者 または子)が、
・被保険者(加入者)等が死亡した当時に、この方によって、
・生計を維持されていた 
ことが必要になっています。
この関係を「生計維持要件」といいます。

「生計維持要件」は、
①生計が同じであること(「生計同一要件」)と、
②その遺族の収入が一定額以下であること(「収入要件」)の、
両方を満たす必要があります。
①生計同一要件「家計が同じ」「サイフが同じ」というイメージです。
住民票が手がかりに、
ⓐ住所が世帯も同じのときは原則、生計同一要件を満たします。
ⓑ住所が同じだが世帯が違う(二世帯住宅などのとき)ときは、
 このままでは生計が同一と認められないので、
 「別世帯となっていることについての理由書」を提出する必要があります。
住所も世帯も違う(別居のとき)ときは、
 このままでは生計が同一と認められないので、
 「同居についての申立て」や、
 「生計同一関係に関する申立書」を、
 「生計同一関係を証明する書類」を添付して提出する必要があります。
(※生計同一要件については、前回の記事。最後にリンクを貼っておきます)

今回は、②収入要件について書いていきます。

(2)収入要件
①遺族基礎年金は、遺族(子のいる配偶者・子) の生活保障のためのものです。
 よって、遺族に基準以上のの収入がある場合は、
 生計を維持されていた関係とは言えず、遺族基礎年金は支給されません。

②収入にかかる認定基準は、
 「厚生労働大臣の定める金額(現在は850万円)以上の収入を、
  将来にわたって有すると認められる者」でない
こと です。
 すなわち、
 ⓐ前年の収入が、年額850万円未満であること。
 ⓑ前年の所得が、年額655万5000円未満であること。
 ⓒ一時的な所得があるときは、その所得を除いた後、
  ・前年の収入が、年額850万円未満であること。または、
  ・前年の所得が、年額655万5000円未満であること。
 ⓓⓐ~ⓒの事情はないが、定年退職などの事情で、
  近い将来(おおむね5年以内)に、
  ・収入が、年額850万円未満になる、または、
  ・所得が、年額655万5000円未満になる認められること。

 のいずれかを満たすことが必要です。
 ※前年の収入や所得が確定していないときは、
  前々年の収入や所得で判断します。

③収入と所得について。
 収入と所得は混同しがちですが、
 収入とは、自分に入る金額の総額をいい、
 所得は、その収入から必要経費を引いた額です。
 収入-必要経費=所得
 必要経費とは、収入を得るための費用です。

 事業の収入に関しては、必要経費事業者ごとに判断されますが、
 給料の収入に関しては、必要経費は、給与収入の額に応じて決まっています
 これを、給与所得控除といいます。
 仮に、給与収入が850万円だと、ⓐ850万円未満という要件は満たしませんが、
 必要経費(給与所得控除)は、給与収入が660万超~850万円までの場合は、
 給与収入の額(総支給額)×10%+110万円 ですので、
 850万円だと、850万×10%+110万=195万。
 195万円が引かれる(控除される)ので、
 所得は、850万-195万=655万円。ⓑの要件を満たし、収入要件を満たします。

④「近い将来(おおむね5年以内)に、
 収入が年額850万円未満、所得が年額655万5000円未満になる」事情
とは、
 対象の遺族 (子のいる配偶者、子)について、
 ⓐ定年退職を5年以内にするとき
 ⓑ収入が減少することが推認されるとき(職場の廃業が確実なとき等)
 ⓒ役員報酬の減少が推認されるとき、
 ⓓ農業等に従事し、収入が不安なとき、などです。

⑤前年 (未確定のときは前々年) の収入を認定するための資料は、
 源泉徴収票、確定申告書、課税証明書
 など。
 一時所得があり、差引く必要があるときや、
 おおむね5年以内に収入や所得の減少を推認する必要があるときは、
 その事情を証明する書類が必要です。

今回はここまでにします。

次回は、生計維持要件について、例外的なケース(DVや行方不明等) について書いていきます。

お読みいただきありがとうございました。

※生計維持要件のうちの、生計同一要件 国民年金034

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