厚生年金060 老齢厚生年金にかかる税金③ 

(1)はじめに 老齢年金の所得税の源泉徴収についての復習
 老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)は、雑所得として所得税がかかります。
 所得税の算出は、以下の3ステップでした。
①収入-必要経費=所得
 老齢年金でいうと、
 年金収入額-公的年金等控除=年金所得額
②所得-各種の所得控除=課税所得
 各種の所得控除とは、
 社会保険料控除、基礎控除、配偶者控除、障害者控除、ひとり親控除、寡婦控除
 など。
 ①で出した年金所得からこれら各種の所得控除をひいて、
 課税所得の額を算出します。
③課税所得 × 税率=所得税。
 税率は、多くの方は、5.105%
 所得税は、支給の際に天引きされます(源泉徴収)
 源泉徴収は、月ごとに行われます。
 年金受給者には、1年間分の源泉徴収票が翌年1月に交付されます。

(2)老齢年金の受給者と確定申告
 多くの年金受給権者は、源泉徴収によって所得税の算出・納付は終了します。
 (以降の確定申告等の手続きは不要です)
 しかし、一定の方(例えば他に収入や控除がある方)は、
 これらの収入や控除も含めて所得税を算出するため、
 年金の収入について源泉徴収した所得税とズレが発生します。
 1年間のすべての収入や控除をもとに所得税を確定させる必要があります。
 この手続きが確定申告です。

 確定申告で確定した所得税の額が、源泉徴収された所得税の額よりも、
 多ければ、不足額を納付し、
 少なければ、取り戻すことができます(還付)。

(3)確定申告が必要な場合について。
 以下、公的年金の受給者に関係する主なものにとどめます。
①年金の収入額が400万円超、または、
 (年金収入が400万円以下でも) 他の所得が20万円を超える場合。
 
例えば、給与所得が20万円を超える場合。
 給与所得とは、
 「収入-必要経費=所得」の関係にあてはめると、
 給与における必要経費は「給与所得控除」ですので、
 給与収入(総支給額)から給与所得控除額をひいたものです。
 本来は大変細かく決められており、詳細は割愛しますが、
 給与収入(総支給額)が、
 551,000円未満なら、給与所得は総支給額(控除なし)。
 100万円なら、給与所得は45万円。
 200万円なら、給与所得は132万円。
 300万円なら、給与所得は202万円。
 400万円なら、給与所得は276万円。
 500万円なら、給与所得は356万円。
 600万円なら、給与所得は436万円。
 660万円~850万円未満なら、給与所得は総支給額×90%-110万円
 850万円~2000万円未満なら、給与所得は総支給額-195万円
 2000万円以上なら、給与所得は1805万円。
 給与所得が20万円超の老齢年金の受給者は、
 (年金の額にかかわらず)確定申告をしなければなりません。
年金支払者(実施機関)が異なる複数の年金を受給する場合。
 源泉徴収は年金支払者(実施機関)ごとに行われるため、
 確定申告で所得税を確定する必要があります。
医療控除、雑損控除、寄付控除、生命保険料・地震保険料控除等がある方
④退職金の支払いを受ける際に、
 「退職所得の受給に関する申立書」を提出しなかったため、
 退職金の20%を所得税として源泉徴収されてしまった場合。

 「退職所得の受給に関する申立書」を提出していた場合
 ((退職金額-退職所得控除)÷2×5.105%)
 と比べて多く納付しているため、確定申告をします。
⑤同族会社の役員やその家族で、その会社から給与以外の給付を得た場合
 (貸付金の利子、建物や機械工具の賃料など)
※他にもありますが、年金受給権と関係が薄いものは割愛します。

(4)還付申告、更生の請求
確定申告の際に算出された1年間の所得税額が、源泉徴収額より多い方は、
 翌年1/1から5年間還付申告によって取戻すことができます
②そして、還付申告の後に、さらに納め過ぎが判明した場合は、
 「更生の請求」をすることができます。
 (還付申告を再度するのではありません)
 還付申告日または法定申告期限の遅い日から5年以内に行います。

今回はここまでにします。
60回にわたった老齢厚生年金ですが、ここでひとまずキリをつけます。
(制度改正や金額の改正は追っていきます)

次回からは、遺族年金(遺族基礎年金、遺族厚生年金)に入ります。
本来、テキストの流れは、障害年金→遺族年金ですが、
遺族年金は老齢年金と親和性があり、
障害年金は大変奥が深いので、遺族年金の後で腰を据えて書きます。
引き続きよろしくお願いします。

お読みいただきありがとうございました。
 
 
 

 
 
   

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