厚生年金045 企業型確定拠出年金(企業型DC)①制度のあらまし

(1)はじめに。確定拠出年金の復習
 確定拠出年金とは、企業または個人が定められた範囲内で掛金を拠出し、従業員や個人本人(加入者)自身が運用方法を決定して、その運用方法に基づいた給付を受けることができるという年金制度です。
掛金の拠出額に上限(拠出限度額)があること。
加入者が、運用方法の決定をすること。
給付額は、運用の結果に基づくことが特徴です。

 企業年金としての「企業型確定拠出年金」と、
 個人年金としての「個人型確定拠出年金 (iDeCo(イデコ))」があります。

 まずは、今回から3回、企業型確定拠出年金について書いていきます。

(2)企業型確定拠出年金のあらまし
 企業型確定拠出年金は、企業が従業員のために拠出する掛金によって、従業員(加入者) が運用方法を決定する形で行われる年金制度です。企業型DCとも呼ばれます。

 企業にとっては、毎月掛金を拠出するものの、従業員が受け取る年金額については責任を負わず、運用リスクを回避するメリットがあります。
 従業員(加入者)にとっても、払い込まれた掛金がその方自身の個人口座で管理されるため、退職や転職などの際に、積み立てた資産を移動させることができ (ポータビリティ機能)、自ら運用するため。退職等を待たずに現時点の年金額を明確に把握できるメリットがあります。

(3)企業型確定拠出年金の制度について
実施者 
 「企業」(厚生年金保険の適用事業所)。
 ・共同で実施することもできる。
 ・官公庁は「企業」でないため公務員は加入できない。
加入対象者
 実施企業の従業員 (厚生年金保険の被保険者) 全員
 令和5年から、70歳未満なら加入できる。
各当事者の位置づけ
 ⓐ企業
 ・運営管理機関を選択し、
 ・資金管理機関に掛金を支払う。
 ⓑ従業員(加入者)
 ・運営管理機関を通じて運用の指図をし、
 ・資金管理機関に給付金の支払いを請求する。
 ⓒ運営管理機関
 ・加入者に情報を提供し、
 ・資金管理機関に運用の指図をする。
 ・給付の裁定をし、資産管理機関に受給権者への給付を指示する。
 ・各種記録を管理する。
 ⓓ資金管理機関
 ・企業から掛金の拠出を受け、
 ・掛金を積み立て、管理する。
 ・商品提供機関から、商品を購入する。
 ・加入者(受給権者)に、給付金を支払う。
 ⓔ商品提供機関
 ・商品を提供する。
 ⓒ運営管理機関・ⓓ資金管理機関・ⓔ商品提供機関は、兼ねることができる。
  (銀行、信用金庫等、証券会社、生命保険会社、損害保険会社等) 
掛金の拠出者
 原則として企業
 規約により、加入者も拠出できる(企業の拠出額を超えてはならない)。
 企業と加入者の拠出額の合計は、拠出限度額の範囲内でなければならない。
給付の種類
 ・老齢給付金 (年金または一時金)
 ・障害給付金 (年金または一時金)
 ・死亡一時金
 ・脱退一時金 (一定の条件あり)。

 なお、中途解約して払い戻しを受けることはできません。
老齢給付金の支給開始時期は、
 60歳~75歳到達前の間で選択できるが、
 60歳時点での加入期間により、支給開始年齢が引上げられる。
  ⓐ10年以上      60歳から
  ⓑ8年以上~10年未満 61歳から
  ⓒ6年以上~8年未満  62歳から
  ⓓ4年以上~6年未満  63歳から
  ⓔ2年以上~4年未満  64歳から
  ⓕ1月以上~2年未満  65歳から
 60歳以降に初めて加入の場合は、加入から5年たった日から。
 加入期間は、企業型・個人型の各期間を合計したもの。
税制上の扱い
 ⓐ掛金
  ・事業主拠出分 全額損金算入。
  ・本人拠出分  所得控除 (小規模企業共済等掛金控除)

 ⓑ運用益 非課税。
 ⓒ給付金
  (ⅰ)老齢給付金
   ・年金は、雑所得として所得税の対象。公的年金等控除が適用。
   ・一時金は、退職所得として所得税の対象。退職所得控除が適用。

  (ⅱ)障害給付金 非課税。
  (ⅲ)死亡一時金 相続税の対象。
  (ⅳ)脱退一時金 退職所得として所得税の対象。退職所得控除が適用。

今回はここまでにします。

次回は、企業型確定拠出年金拠出限度額についてです。

お読みいただきありがとうございました。

 
 

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