厚生年金043 確定給付企業年金(DB)

(1)はじめに
 年金制度の全体像として、
①国民共通の基礎年金としての国民年金(1階部分)
②サラリーマンや公務員等を対象にした厚生年金保険(2階部分)
があり、さらに、
③上乗せ部分として、会社の福利厚生としての企業年金(3階部分)
があります。
 企業年金の1つとして、前回かいた「厚生年金基金」がありますが、近年、運用成績が芳しくなく、代行割れの基金が増加していることから、段階的に縮小・廃止の方向にあります。
 このような流れから、企業年金は「確定給付企業年金(DB)」と「企業型確定拠出年金(DC)」が主流なっています。

 今回は、確定給付企業年金(DB)について書いていきます。
(※確定給付企業年金(DB)・確定拠出型年金(DC)は、厚生年金法上の制度ではありませんが、厚生年金基金に続くものとして、厚生年金の段階で大枠をまとめておきます)

(2)確定給付企業年金(DB)について
 確定給付企業年金は、労使が給付などの年金の内容をあらかじめ定め、その内容に基づいて年金給付等をする企業年金制度です。
 給付の内容があらかじめ決まっていることが特徴です。DBとも呼ばれます。Defined Benefit Plan(給付建て年金)の略です。
 加入期間や給与水準に基づいてあらかじめ給付額が定めされており、老後の生活設計を立てやすいのが長所ですが、運用の低迷などによって積立て不測になったときは、企業が追加拠出をしなければならないリスクがあります。
 労使合意に基づくもので、加入企業の厚生年金保険の被保険者全員が対象になります。

(3)確定給付企業年金の種類
 「規約型」と「基金型」の2種類があります。
①規約型
 ⓐ実施主体 
  「企業」(厚生年金保険の適用事業所)
  ※官公庁は企業ではないため対象外。公務員は加入不可。
 ⓑ従業員は、企業と「年金規約」の労使合意をする。
 ⓒ企業は、外部の信託会社や生命保険会社と契約し、
  信託会社や生命保険会社に掛金を拠出し、支払い指図をする。
 ⓓ信託会社や生命保険会社は、年金資産を管理・運用し、
  退職した従業員(受給権者)の請求に基づき、年金を給付する。
②基金型
 ⓐ実施主体
  企業年金基金(企業とは別の法人格。以降基金と呼ぶ)
 ⓑ従業員は、企業と「基金設立」の合意をする。
 ⓒ企業は、企業年金基金を設立し、掛金を基金に拠出する。
 ⓓ基金は、年金資産を管理・運用し、
  退職した従業員(受給権者)の請求に基づき、年金を給付する。
  (信託会社・生命保険会社は、基金から資金管理運用の委託を受けるが、
  企業や従業員・受給権者と直接の関係はない)

(3)給付
老齢給付金(年金または一時金)脱退一時金が基本です。
障害給付金遺族給付金は、規約を定め任意で行うことができます。
老齢給付金は、
 ・あらかじめ受取り額が決まっています
 ・支給開始年齢は、原則、60歳~70歳の、規約で定められた年齢から。
 ・支給期間は、終身または5年以上の有期。毎年1回以上の定期支給。
 ・原則として、年金として支給。
  規約により、全部または一部を一時金として支給できる。
 ・20年以下の加入者期間の要件を規約で定めることができます。
④脱退一時金は、
 加入期間が3年以下で、年金給付が受けられないときに、規約の定めにより支給。

(4)掛金
 ・原則として事業主が拠出
 ・加入者は、規約の定めにより、一部を拠出できる。
 ・拠出限度額はなし。

(5)税制上の取扱い
掛金
 ⓐ事業主が拠出のものは、全額、損金算入。
 ⓑ加入者が拠出の者は、全額、生命保険料控除。
給付金
 ⓐ老齢給付(年金) 雑所得として所得税の対象。公的年金等控除の対象。
 ⓑ老齢給付(一時金) 退職所得として所得税の対象。退職控除の対象。
 ⓒ脱退一時金 退職所得として所得税の対象。退職控除の対象。
 ⓓ障害給付 非課税。
 ⓔ遺族給付 相続税の対象。

今回はここまでにします。

次回から数回にわたって、確定拠出年金(DC)について書いていきます。

お読みいただきありがとうございました。
 


 
 
 

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