厚生年金042 厚生年金基金

(1)厚生年金基金とは
 厚生年金基金とは、老齢厚生年金の報酬比例部分の一部を、政府に代わって、厚生年金基金が支給する制度です。
 厚生年金基金 (以下「基金」)が、老齢厚生年金の報酬比例部分の一部(代行部分)と、各基金独自のプラスアルファ部分を給付します。
 基金が設立されている事業所の厚生年金保険の被保険者は、すべて基金に加入します。そして、代行部分相当額を国に納付することが免除され、基金の掛金(原資)になっています。

 企業年金として、国民年金(1階部分)、厚生年金(2階部分)に上乗せされる3階部分として導入されましたが、近年の運用成績の悪化が続き、厚生年金の代行部分も積立て不測の状態の基金が増加していることから、平成26年4月から厚生年金基金の見直し(健全化)が行われることになりました。
すなわち、平成26年4月以降は新たな基金の設立は認められず
②代行割れの基金の早期解散。
③基準を下回る基金については解散命令。
④その他の基金についても他の企業年金制度への移行
など、段階的な縮小・廃止が図られています。
 そして、平成26年4月時点で存続していた基金は「存続厚生年金基金」として、解散や廃止まで、業務を行うことになります。
 また、平成26年4月時点の「企業年金連合会」も、新たな企業年金連合会が設立される際に解散することになっており、それまでは中途脱退者等(またはその遺族)についての給付金の支給業務を行うことになっています。

(2)存続厚生年金基金による、年金の支給
 存続厚生年金基金(以下、基金)が支給する老齢年金給付は、①代行部分と②プラスアルファ部分があります。
 加入期間は1月でもあれば支給されます。
(老齢厚生年金や老齢基礎年金の受給資格期間(10年)の有無は問わない)
代行部分
 再評価(貨幣価値の上昇を考慮した修正)やスライド調整(物価変動・手取り賃金変動を考慮した修正)をする平均標準報酬月額・標準報酬額に基づいて計算された、老齢厚生年金の報酬比例部分の一部。
(再評価部分やスライド調整部分は、国から支給
プラスアルファ部分
 ⓐ上乗せ部分 ①の代行部分の額に応じて上乗せされる部分 
 ⓑ加算部分 各基金により異なります。 

(3)基金の解散・代行の返上
 厚生年金基金は財政状況が悪化しているところが増加してきたため、平成26年4月以降、解散するか確定給付企業年金に移行することになり、段階的に縮小しています。令和5年現在残っている基金は5つです。
①解散時期が平成26年3/31以前のとき
 代行部分のうち、最低責任準備金は企業年金連合会に納付され、残余財産分配金は本人の希望で企業年金に移換されます。
 老齢厚生年金の代行部分は企業年金連合会から支給され、プラスアルファ部分は残余財産分配金が連合会に移換されているときに企業年金連合会から支給されます(通算企業年金)。
②代行返上や解散の時期が平成26年4/1以降のとき
 代行部分のうち、最低責任準備金は政府に納付され、残余財産分配金は本人の希望で企業年金に移換されます。
 老齢厚生年金については、代行部分に、もともと政府が支給義務を負っていたスライド部分・再評価部分を合わせた、通常の老齢厚生年金として支給されます。プラスアルファ部分は残余財産分配金が連合会に移換されているときに企業年金連合会から支給されます(通算企業年金)。

(4)中途脱退者への年金の給付
①平成26年3/31までに解散した基金の加入員、および基金を短期間(おおよそ10年未満)で脱退した「中途脱退者」に対する年金給付(老齢厚生年金の受給権者のみ)については、企業年金連合会から支給されます。
②長期加入者や平成26年4/1以降に解散した基金の加入者は、加入基金から年金が支給されます。
③脱退者については、加算部分から脱退一時金が支給されます。脱退一時金は、他の企業年金制度に移換することもできます。

(5)厚生年金基金に加入していたことがある方について
①基金に加入されていた方は、政府(日本年金機構)と基金(または企業年金連合会)の両方に、年金の請求をします。
 加入基金や企業年金連合会に問い合わせをしてください。
②50歳~60歳前の方に送付される「ねんきん定期便」に記載されている老齢厚生年金の見込額は、
 従来は基金の代行部分は含まれていなかったため、少なめの額が記載されていましたが、
 令和3年度送付分から、見込額に代行部分が含まれるようになりました。

(6)その他
 基金によっては、規約により、障害や死亡による年金や一時金が支給されることがあります。

今回はここまでにします。
細かいので、加入されていた方は、(1)(2)(5)を知っておいてください。

次回は、確定給付企業年金です。
基本的な部分を、コンパクトにまとめていきます。

お読みいただきありがとうございました。

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