厚生年金041 60歳台前半の老齢厚生年金の雇用保険による調整⑤高年齢雇用継続給付Ⅱ

(1)はじめに
 前回の続きです。
 雇用保険の「高年齢雇用継続給付」によって、60歳台前半の老齢厚生年金が具体的にどのように調整されるかについて書いていきます。

(2)復習
高年齢雇用継続給付とは、60歳~64歳の雇用保険の被保険者について、各月の賃金が60歳到達時の賃金と比べて低下(75%未満)したときに支給されるものです。
②2種類あります。
 ⓐ高年齢雇用継続基本給付金
  基本手当を受けずに継続雇用されて賃金が下がった方
 ②高年齢再就職給付
  いったん退職して基本手当を受給の後、再就職して賃金が下がった方
支給期間は、65歳到達時まで(②再就職給付は2年または1年という制限もあり)。
支給額(月額)は、
 ⓐ支給対象月の賃金が、60歳到達時の賃金61%未満のとき
  支給対象月の賃金の15%
 ⓑ支給対象月の賃金が、60歳到達時の賃金61%~75%未満のとき
  支給対象月の賃金の15%から減額された額
(※前回の記事は、最後にリンクを貼っておきます)

(2)高年齢雇用継続給付による、60歳台前半の老齢厚生年金の調整
①60歳台前半の老齢厚生年金の受給者(60歳~64歳)が雇用保険に加入しており、就労して報酬を得ています。
 よって、この方は、在職老齢年金による支給停止の対象でもあります。
 したがって、
 ⓐ在職老齢年金による60歳台前半の老齢厚生年金の支給停止
 [(総報酬月額相当額+年金の基本月額-48万円)÷2〕に加え、
 ⓑ高年齢雇用継続給付による60歳台前半の老齢厚生年金の支給停止
 
があります。
(※在職老齢年金による支給停止については、最後にリンクを貼っておきます)

支給停止額
 60歳到達時の賃金と比較して、
 60歳以降の各月の「標準報酬月額」(賃金ではない)が、
 ⓐ61%未満のとき、支給停止額は、
  「標準報酬月額」の6%
(賃金の6%ではない)。
 ⓑ61%以上75%未満のとき、支給停止額は、
  「標準報酬月額」の6% から減額された額。

  具体的には、(13,725円-183A) ÷ 280A × 6/15
 (A=標準報酬月額 /60歳到達時の賃金)
 ⓒ標準報酬月額+各月の高年齢雇用継続給付の額が、
  支給限度額(370,452円。令和5年8/1~)を超えるときは、
  (370,452円-標準報酬月額) × 6/15 が支給停止。
※「標準報酬月額」については、最後にリンクを貼っておきます)

(3)注意点
支給停止の対象は、60歳台前半の老齢厚生年金です。
 高年齢雇用継続給付は減額されません。

②60歳到達時の賃金と比較するのは、
 ⓐ高年齢雇用継続給付の額は、60歳以降の各月の賃金。
 ⓑ支給停止額は、60歳以降の各月の標準報酬月額。
③支給停止になるのは、高年齢雇用継続給付が支給されるときです。
 よって、
 ⓐ60歳以降の各月の賃金が60歳到達時の賃金の75%以上のとき,
 ⓑ標準報酬月額が支給限度額 (370,452円)を超えるときは、
 そもそも高年齢雇用継続給付の支給がないので、支給停止はありません。

今回はここまでにします。

次回は、厚生年金基金です。

お読みいただきありがとうございました。

※前回の記事(高年齢雇用継続給付のしくみ) 厚生年金040
※在職老齢年金による支給停止 厚生年金035
※標準報酬月額 厚生年金009
   

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