厚生年金039 60歳台前半の老齢厚生年金の、雇用保険との調整③基本手当(失業手当) Ⅱ 

前回の続きです。
(※前回の記事は、最後にリンクを貼っておきます)
 60歳台前半の老齢厚生年金雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)を同時に受給できる場合は、基本手当が優先的に支給され、60歳台前半の老齢厚生年金は支給停止になります。

(1)支給停止の期間(調整対象期間)
 ハローワークに出頭し求職の申込みをした翌月から、
 所定給付日数分(90日~360日分)の受給が終了する月、または、
 基本手当の受給期間(離職の翌日から原則1年)が終了する月まで

 なお、待機期間(求職の申込みから通算7日間)や給付制限期間(重責解雇・正当理由ない自己都合による離職。待機期間満了後1~3か月間)は、失業の認定をされないため、基本手当の支給はありませんが、この間についても、60歳台前半の老齢厚生年金は支給停止になります。基本手当の支給があったと扱われます。

(2)ただし、調整対象期間中の各月において、
①基本手当を1日も受けない月は60歳台前半の老齢厚生年金は支給され、
②基本手当を1日でも支給された月は60歳台前半の老齢厚生年金の支給がない。
ということになってしまい、②のケースで酷な扱いになり、不合理です。
 そこで(1)の支給停止の期間(調整対象期間)が終了したときに、次の式によって算出された月数分について、事後的に支給停止のが解除され、事後精算の形で60歳台前半の老齢厚生年金が支給されます。

支給停止解除月数=
60歳台前半の老齢厚生年金の支給停止の月数-(基本手当の支給対象日数÷30日)


基本手当の支給対象日数は、前述の待機期間や給付制限期間の日数を含みます
また〔基本手当の支給対象日数÷30〕の1未満の小数点以下は、1に切上げます。

(3)設例
 例えば、60歳台前半の老齢厚生年金の支給停止10か月
 基本手当の支給対象日数200日だった場合、
 支給停止解除月数=
 10月-(200日÷30日)=10-6.666(7に切上げ)=3月。
 3か月分の60歳台前半の老齢厚生年金が、事後精算で支給されます。

(4)その他
①支給停止とは、受給権はあるものの、その間の年金は支給されないということです。
(支給停止の事由が消滅した後でまとめて支給されるということではありません)
②(65歳以上の本来の)老齢厚生年金は基本手当による支給停止はありません
 離職した65歳以上の方は、基本手当ではなく、高年齢求職者給付金という一時金が支給されます。老齢厚生年金と併給されます(両方もらえます)。高年齢求職者給付金は、被保険者期間が1年以上なら基本手当日額の50日分、1年以下なら基本手当日額の30日分です。
③60歳台前半の老齢厚生年金と基本手当は、計算式が異なるので、支給額の大小が当然生じます。
60歳台前半の老齢厚生年金の額 >基本手当のとき。
 基本手当の手続きをしてしまうと、そちらが優先されてしまうので、基本手当の手続きはせずに、60歳台前半の老齢厚生年金のみの手続きをして、転職活動等をするといいでしょう。
基本手当 > 60歳台前半の老齢厚生年金 のとき。
 基本手当を希望しても、60歳台前半の老齢厚生年金の受給権はあります。基本手当の支給が終了した後すぐに年金を受け取れるよう、両方の手続きをしておくとよいでしょう

 今回はここまでにします。

 次回は、60歳台前半の老齢厚生年金の、雇用保険の高年齢雇用継続給付による支給停止について、2回にわたり書いていきます。

 お読みいただきありがとうございました。

※前回の記事 厚生年金038

  
 


 

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