厚生年金035 在職老齢年金による、老齢厚生年金等の支給停止

 社会経済的な背景により、高齢になっても、就労を続ける方が増えてきました。
 老齢厚生年金等の受給権者として年金等を受給しながら、厚生年金保険の被保険者として事業所より報酬を受けるケースが増えてきました。
 この場合、老齢厚生年金等の一部(または全部)が、支給停止になることがあります。

 これは、60歳台前半の老齢厚生年金 と (65歳以上の本来の)老齢厚生年金の、共通の制度です。かつては異なる制度で支給停止の額が算定されていましたが、令和4年の法改正で、しくみが統一されました。
(以下「老齢厚生年金等」と表記することがあります)

(1)在職老齢年金による支給停止対象者
老齢厚生年金等受給権者
前月から引き続き、以下のいずれかに該当する方
 ⓐ厚生年金保険の被保険者でもある方
 ⓑ国会議員または地方公共団体議員でもある方
 ⓒ70歳以上で、適用事業所で使用される
 ※70歳以上の方は原則として厚生年金保険の被保険者ではありませんが
  年金受給権者で就労による報酬を受ける点で共通するので、
  在職老齢年金による支給停止の適用を受けます。
③報酬の月額相当額 (「総報酬月額相当額」) と、
 老齢厚生年金等の月額相当額 (「基本月額」) の合計額が、
 48万円 (「支給停止調整額」) を超える方
 (【総報酬月額相当額 + 基本月額 > 48万円】)
①~③を満たす方は、各月について支給停止されます。

(2)総報酬月額相当額・基本月額・支給停止調整額
総報酬月額相当額 (報酬の月額相当)
 =その月の標準報酬月額 + (その月以前1年内の標準賞与額÷12月)
 例。その月の報酬月額が29万円、以前1年内の賞与総額が84万800円。
   標準報酬月額は30万円、標準賞与額は84万円(千円未満切捨て)。
   30万+(84万÷12) =30万+7万= 37万円。
   総報酬月額相当額は、37万円になります。
基本月額 (老齢厚生年金の、月額相当額)
 =老齢厚生年金等の本体の額 (年額) ÷ 12月
 ※加給年金額・経過的加算・老齢基礎年金は含まれません。
 例。老齢厚生年金の年額が144万円なら、144万÷12月=12万。
   基本月額は、12万円になります。
支給停止調整額
 令和5年度は48万円です。

 名目賃金変動率を基準に算定されます。1万円単位です。
 ちなみに令和4年度は47万円でした。

(3)在職老齢年金による支給停止額
 支給停止額
 =(①総報酬月額相当額+②基本月額-③48万円) ÷2

 ・設例では、
  (①37万円+②12万円-③48万円)÷2=5,000円。
  月額5,000円が支給停止。
 ・①+②が48万円以下なら、支給停止なし (老齢厚生年金等は全額支給)
 ・算出した支給停止額が、年金額を超えるときは、全額支給停止。

  (繰り下げによる加算の額は支給)

(4)その他
経過的加算は、支給停止なし(全額支給)。
②加給年金額は、一部支給停止なら全額支給、全部支給停止なら全額不支給。
③老齢基礎年金は、支給停止なし(全額支給)。

④2種以上の種別(第1号~第4号厚生年金保険の被保険者期間)の扱いは、
 いったん合算して支給停止額を算出した後、
 それぞれの種別の基本月額の比例した額(按分額)を算出。

今回はここまでにします。
在職老齢年金による老齢厚生年金等の支給停止は、近年様々な記事で書かれています。
今回の知識は理解していただけたらと思います。
※大まかな支給停止額の早見表を載せておきます。

次回は、老齢厚生年金・60歳台前半の老齢厚生年金の額の改定についてです。

お読みいただきありがとうございました。



 

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