厚生年金034 老齢厚生年金の繰下げ支給④

(1)復習 繰上げ支給本来受給比較
繰下げ支給
 ⓐ66歳到達時から(受給権取得から1年経過後から)申出できる。
 ⓑ繰下げ支給の申出までの年金は、支給なし
 ⓒ繰下げ支給の申出以降、増額された年金額が支給。
  増額率は、(受給権取得月~申出の前月までの月数)×0.7%
 ⓓ時効消滅は原則としてない
 ⓔ繰下げ支給の申出をせずに、
  75歳に到達した後(老齢厚生年金の受給権取得から10年たったとき
  :75歳到達時(受給権取得から10年たった日)に申出したとみなす

本来受給
 ⓐ65歳到達時から裁定請求できる。
 ⓑ受給権取得~裁定請求までの年金は、一括支給される。
 ⓒ原則として、増額はない
 ⓓ各月の年金請求権は5年で時効消滅
 ⓔ5年前以前の時効消滅した月数は、繰下げ支給の申出ありとみなされ
  その分は増額される(特例的な繰下げみなし増額制度)。
  ただし、昭和27年4/2以降生まれが対象。
  受給権取得から15年たつと(80歳以降)適用なし。

これらをふまえて、前回に続き、以下、さらに掘り下げていきます。

(2)80歳以降まで、受給の手続きをしていなかった場合
 65歳到達時受給権を取得して、受給の手続きをせず81歳に到達したとしましょう。
81歳到達時に、繰下げ支給の申出をしたとき。
 上記(1)①ⓔのとおり、
【繰下げ支給の申出をせずに、
 75歳に到達した後(老齢厚生年金の受給権取得から10年たったとき
 :75歳到達時(受給権取得から10年たった日)に申出したとみなす
 ので、
 65歳到達時から10年たった、75歳到達時に繰下げ支給の申出をしたとみなされます。
 65歳到達時~75歳到達時の10年(120月)分、すなわち、
 0.7%×120月=84% 増額された老齢厚生年金が75歳到達時から発生しますが、
 申出時に81歳に到達しており、
 75歳~76歳到達前の1年分は、5年たったので時効消滅します。
 76歳~81歳到達前の5年分が一括支給されます。
 以降、84%が増額された老齢厚生年金が、生涯支給されます。

 つまり、繰り下げ支給も、申出が80歳以降だと、時効消滅する分が発生してしまうのです。

81歳到達時に、繰り下げ支給の申出をせずに、本来受給を請求した場合
 年金の受給権は、5年で時効消滅するので、
 76歳到達時からの受給権しかなく、
 65歳到達時~76歳到達前の11年分は、時効消滅しています。
 76歳到達~81歳到達時の5年分が、一括支給されます。
 そして、先ほど(1)②ⓔ書いたとおり、
 特例的な繰下げみなし増額制度は、80歳以降は適用されません
 設例では、81歳到達時に請求したので、
 特例的な繰下げみなし増額制度適用されません
 5年前の76歳到達より前の部分は、時効消滅しているので、
 81歳到達時(請求時)に、76歳~81歳前の5年分が一括支給されます。
 以降、増額されない老齢厚生年金が、生涯支給されます。

今回はここまでにします。
まとめると、
①繰り下げ支給は、
・増額される。
・申出までの分は支給されない。
・80歳到達までは、時効消滅なし。
②本来受給は、
・原則、増額なし。
・原則、受給権を取得時からの分が支給。
・5年で時効消滅。
 時効消滅分の月数は、特例的な繰下げみなし増額制度による増額あり。

 (昭和27年4/2以降生まれ。80歳前まで)
これだけ知っておいてください。

次回は、在職老齢年金についてです。

お読みいただきありがとうございました。

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