厚生年金031 老齢厚生年金の繰下げ支給② 

今回から、老齢厚生年金の繰下げ支給掘り下げていきます
※基本的な部分は、前回の記事を参照してください。

(1)繰下げ支給の復習
①繰下げ支給は、(65歳からの本来の)老齢厚生年金でのみ申出できます。
 60歳台前半の老齢厚生年金ではできません。
②老齢厚生年金と老齢基礎年金は、別々に繰下げ支給の申出ができます。
66歳到達時(誕生日の前日)まで、老齢厚生年金の支給の請求(裁定請求)をしていないことが、必要です。
 (65歳到達の後に受給権を取得したときは、受給権取得日から1年経過する前まで、裁定請求していないこと)
繰下げ支給の申出
 ・昭和27年 (1952年)4/2以降の生まれ 75歳到達時まで。
 ・昭和27年 (1952年)4/1までの生まれ 70歳到達時まで。

繰下げ支給による増額率
 (65歳到達(受給権取得)月 ~ 繰下げ支給の申出前月まで月数) × 0.7%

(2)本来受給について
 老齢厚生年金の受給権を取得してしばらくたった際に、繰下げ支給の申出をせずに、
本来の (受給権取得時 (65歳到達時)からの、増額のない) 老齢厚生年金の受給を選択することもできます (本来受給)。

 例えば、65歳到達時に受給権を取得した方が、68歳に到達したとしましょう。
68歳到達時に、繰下げ支給の申出をすると、
 ・65歳~67歳の3年分は支給されない
 ・68歳到達時から、増額された老齢厚生年金が生涯支給されます。
  0.7%×36月(3年分)=25.2% の増額。
68歳到達時に、繰下げ支給の申出をせずに、本来受給の裁定請求をしたときは、
 ・65歳~67歳の3年分は、一括して支給される。
 ・増額はなし
※長生きすればするほど、ⓐの方が、生涯の受給額が多いことになります。

(2)しかし、年金の受給権は、5年で時効で消滅してしまいます。
 例えば、65歳到達時に受給権を取得した方が、73歳に到達したとしましょう。
73歳到達時に、繰下げ支給の申出をすると、
 ・65歳~72歳の8年分は支給されない
 ・73歳到達時から増額された老齢厚生年金が生涯支給されます。
  0.7%×96月(8年分)=67.2% の増額。
 ・時効消滅はない
73歳到達時に、繰下げ支給の申出をせずに、本来受給の裁定請求をしたときは、
 年金の受給権は、5年で時効消滅してしまうので、
 ・68歳到達時からの5年分が、一括で支給される。
 ・65歳~67歳の3年分は、時効消滅してしまう。
 ・増額なし。のはずです。

  しかし、それでは酷であるとして、時効消滅分を補うために、
 「5年前繰下げ支給の申出をしたみなす」と法改正されました。
  (「特例的な繰下げみなし増額制度」。
  ※昭和27年4/2以降生まれの方のみ
  ※受給権発生から15年たつと(80歳以降)適用なし

 設例では、65歳到達時に受給権取得、73歳到達時に裁定請求なので、
 5年前の68歳到達時に、繰下げ支給の申出があったとみなされます
 65歳到達時~68歳到達時の3年(36月)分が増額され、生涯支給されます。
 (増額率は、0.7%×36月=25.2%)

今回はここまでにします。
まとめると、
①本来受給も選択できる。
②受給権取得~裁定請求時までの分が一括支給される。
③原則として増額はないが、
④時効消滅する分は、繰下げ支給の申出みなしで増額あり。

次回はさらに、75歳以降・80歳以降になったときについて書いていきます。

お読みいただきありがとうございました。

※前回の記事 (繰下げ支給の申出)厚生年金030

  

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